コラム
人事制度の運用担当者
人事制度で一番大切なのは、「誰が運用するか」だと思う。
いいクルマだって、誰かが走らせなきゃ意味がない。いい運転をしなければクルマの性能だって発揮できないし、へたをすれば、事故を起こして大破させる。ドライバーの腕は大切だ。
人事制度もそれだ。設計と運用なら、運用が10倍以上たいへんだ。パワーがかかる。
制度設計はイメージだが、運用は現実だ。給与が下がる仕組みを作るのはそれほど難しくないが、実際に下げるのは大きな心労を伴う。迫りくる現実だからだ。
制度を周知して、シートを配布して記入してもらって、評価を集めて(これがなかなか期日に集まらなかったりするんだなあ・・・これをラインにお願いするのも一苦労)、精査して集計して、評価調整会議を仕切って、給与に反映する元資料を作って、給与改定や賞与支給額を提示して承認をもらって(ここでまた一苦労、評価から給与に連関させるところで、また仕組みと現実の狭間に悩まされる)、フィードバック資料作ってフィードバックしてもらって、納得いかない人から「ちょっといいですか・・・」と声をかけられて、給与変更の反映結果をチェックして・・・・。
ある程度の力がないと制度は回せない。仕組みを徹底するだけでは運用できない。現実に耐えられないことがあるからだ。しかし現実だけを見て、仕組みを例外対応に埋もれされてしまってはそもそも仕組みの意味がない。
制度・仕組みと現実運用の狭間が、運用担当者の妙となる。
人事制度運用のご担当者様、ご苦労お察しいたします。
でも、人事担当者として間違いなく力がつく過程なので、がんばっていきましょう。
あと・・・。運用を考えずに制度を作らないように気をつけよう。自動車のつもりが飛行機を作っちゃって、パイロットがいない、なんてことのないように。(それが人事制度にはすごく多い気がしてる)