コラム
今年の給与改定について
あさって選挙ですね。
僕はこういうところでは政治の話はしたくないのでしませんが、
嫌な予感がしています。
大雪でたいへんなところもありますが(なんでこの時期に、とはほんとに思いますが)、
投票にはできるかぎり行きましょう。
投票しないで文句は言えませんよ(しても言うだろうけど)。
消費税の扱いについて議論されていますが、
(そもそも誰が消費税を入れたのか、そのへんも曖昧に下げる議論が進んでいるのもいかがなものかと思うが)
生活にかかる支出を減らす、にはまあそういう方法もあるのでしょうが、
収入を増やすことにももっと力点を置かなければならないでしょう。
(それも結局減税の話になっているんですけどね)
で、今度の「賃上げ」です。
多くのご相談をいただいています。
個々の企業の状況にもよるので一概には言えないのですが、
大手企業や有名企業は、初任給の大幅な増を発表していることもあり、
中堅・中小企業についても僕としては給料は
「上げていただかざるを得ないだろうな」と思っています。
昇給には「ベースアップ(ベア)」と「定期昇給(昇給するとは限りませんが)」があります。
ベアは(やり方はいろいろありますが)、物価水準等に合わせ、
社員全員の給与を底上げする、ということです。
(最近は若年層は上げるけど、中高年はそうでもない、というケースも多いですが)
このベアですが、90年代から2010年代まで、ほぼ20年、
ほとんど実施されてきませんでした。
だから、今の経営者や人事担当者は、ベアの経験が乏しいと言えます。
かく言う西尾も、人事部時代、ほぼベアをしたことはありません。
経営者も、個々の社員の給与を上げることについてはよいのですが、
全体を底上げすることについては違和感を感じる方も多いと思います。
だから、その原資を賞与にもっていこう、とか、
ベアではなく「上げるべき人を上げる」ことに集中しよう、
という方向に行きがちです。
うん、経営的には正しいと思います。
何も一律に上げる必要はない、と思われるのももっともです。
(ちなみに、ベアは一律に上げる、つまり給与テーブルを上方向に書き換えること
初任給があがれば、そうなることが多い。人件費は上がる。
定期昇給は同一の給与テーブル上で上げ(下げ)すること。
理論的には人件費は変わらない。
いずれにしても賞与に弾力性を持たせれば、年間の総額人件費は調整できる)
で、西尾も、基本的には「上げるべき人を上げる」べきだと考えています。
しかし、しかしです。
今年については、選挙の結果に関わらず、
「ベアしましょう」と実は思っています。
どうやらベア含みで、昇給率は今年も5%ぐらいになりそうです。
(それ以上の会社もたくさんあります)
日本の実質賃金が諸外国に比べてこの30年、遅れをとっていることからすると、
もう「遅すぎる対応」かもしれないのですが、
賃金水準を「上げないわけにはいかない」ところまで来ていると思いませんか?
日本の競争力、為替、それを結果論として見てしまうと、
ベアや昇給に躊躇してしまうかもしれませんが、
様子を見ているよりも、
「上げてから、業績も上げる」という循環を目指すしかないと思います。
人が採れない、定着しない、というのは、給与だけの問題ではないですが、
一定の水準までもっていかないと、人材の質も量も担保できないでしょう。
1万円以上のベアと、評価に基づく昇降給がよいのかなとイメージしています。
もちろん、賞与などが、変動的に対応できる状態でなければダメですが。
「給与を上げてから、それに見合う価値創出を会社全体で考えていく」という
サイクル(逆ではなく)を確立すべき時期だと思います。
もちろんいつも言っていますが、
給与は「創出する価値」に基づきます。
社員側も自らが出す「価値を高める」ことをしないと、本来は昇給しません。
自然に給与は上りはしないのです。
ですからそのことをきちっと伝えて、
会社と社員が一緒になって、より高い価値創出をしていこう、
そのための先行投資としてベアと昇給をしていこう、
そういうメッセージを発していく必要があると思います。
これを適切に行うためには「評価」が重要です。価値の判定です。
評価と給与改定がしっかりリンクするような仕組みを整えましょう。
でないと、生き残れないと思います。
経営と人事の皆さん、給与改定、大いに悩んでください。
その時期です。
簡単に決めてはいけません。
会社の今と将来、社員の今と将来をよーく考えて、
どうするか、を決めましょう。
変な気候が続きますが、早く穏やかな春が来ることを待ちましょう。
西尾 太
