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Column

プレイングマネージャーの呪縛

2023.11.9

物書きがひと段落したので、こっちに戻ってきました。再びお久しぶりです。

さて、この時期は、人事評価にまつわる管理職研修や、目標設定会議、評価会議の機会が多く、
やはりいろいろと思うところがありますね。

研修や会議に出席する管理職のみなさん、たいへんですね。お疲れ様です。
でも、クライアントの評価を見ていると、管理職の負荷が大きいこともわかりますが、
やはり管理職の、つまるところ「人」への想いが、
業績や人材育成に大きな影響を与えていることがよくわかります。

「忙しいのに評価なんかできねーよ」と思っている人も中にはいるかもしれません。

お気持ちはわかりますが、
管理職にとって「人の育成以上に重要な仕事はあるだろうか」と問われれば、
どう思われるでしょうか。

もちろん管理職には「業績」という重い責任があります。
しかし、今年の業績も大切ですが、来年度以降の業績にとっては、
「人材育成」も極めて重要な要素になるはずです。

「1on1で週の内1日がつぶれる」と言われた役員の方がいましたが、
彼は「でも、それが最も重要な仕事だから」ともおっしゃっていました。

まあ、「もっともらしい」話ではありますが、
管理職の「人」に対する想い、は中長期的には極めて大切だということではあります。
とはいえ、管理職の負荷も相当なものですよね。

日経新聞で、『日揮、3人で分ける「部長職」 高まる管理職負担にメス』という記事がありました。
(2023年10月26日)
ご関心があれば読んでいただきたいですが、
このような取り組みを始めている企業が出てきているところを見ると、
企業側も「そうはいっても管理職の負荷が高すぎる」と思いだしている、ということだと思います。

やっぱり管理職はたいへんです。
一般社員の7割以上が、管理職になりたくないそうです。(管理職の実態に関するアンケート調査

僕が社会人になりたての頃は、「管理職って楽そうだなあ、給料も高いだろうし、早くなりたいなあ」と思っていました。実際楽だったかどうかは当時わかりませんでしたが、でも何かしらの「余裕」は見て取れました。
ところが、昨今は「管理職になった方が大変そう」に見えているようです。

当時と何が違うのかと言えば、言い古された話かもしれませんが、

「管理職のプレイングマネージャー化」だと思います。

バブル崩壊後、「管理だけしている管理職は要らない」と言われ、リストラされました。

そして限られた人数の中で、実績もマネジメントも行うプレイングマネージャーが増えました。

「管理だけする管理職は要らない」という考え方は、その後経営者に広く深く浸透しました。

「うちはベンチャーだから、管理職はプレイングマネージャーじゃなければならない」
というお話はよく聞きます。ベンチャーじゃなくても「中小企業だから・・・」といって
同じようにお話しされる方もいます。

前の会社でも、
「ウチの課長は、エースで4番なんだー。だから課の売上の半分は自分で稼いでくるんだー」
と言われました。
(その時僕が申し上げたのは、
「おっしゃることはわかりますが、エースで4番がバッターボックスに立っている時、その部下のひよこちゃんたちは、いったい何をしていればいいんでしょうか・・・」
ということで、その後どうなったかはご想像にお任せします)

しかし、ですよ。

本にも書きましたけど、
野球界でプレイングマネージャーで成功したのは、故野村克也さんだけです。
名選手、名監督が数多くいらっしゃいますが、その後何人か「プレイング監督」をされましたが、
いずれも長続きしませんでしたよね。

プレイングマネージャーは、普通の人には「無理」なのではないでしょうか。

もちろん、「管理だけしている管理職」では困るかもしれませんが、
管理職のプレイング比率はもっともっと下げなければならないのではないでしょうか。

僕の2社目「あの会社」でも、社風はイケイケどんどんでしたが、
30歳前後の「マネージャー」は、「マネジメントマネージャー」でした。
自分の数字はほとんど持ちません。
そして僕ら営業と同行してくれたりドヤしたりしていました。
それで十分業績はあがっていましたよ。

ということで、長くなりましたけど、
「プレイングマネージャー」という呪縛を、改めて考え直してみていただきたい。

プレイング比率は、そうですねー、できれば4割以下にして、
それ以外は、人材育成と、部署の将来を考える時間に費やしていただきたい。

プレイング4割で、週に3回は席にいて、部下の仕事のフォローをしたり、戦略や戦術を練ったりする時間が取れます。2割なら週に4回です。

研修などで、管理職の皆さんには「かっこよく仕事してください」「つらくても、楽しそうに仕事してください」と
お願いしていています。
そうでなければ、「管理職になりたい」と思ってくれる人が増えませんから。

今一度「管理職に求めるもの」を再定義していただくことをお勧めします。

今月末、本が出ます。またお知らせします。

西尾 太


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