コラム
振り子の振れ幅
「西尾!それは方法論だろ!」と昔よく上司より指摘をいただきました。
本質的なものを考えようとせず、ひとつの事象に対してひとつの解決策を提示してしまうことが多かった頃のことです。
まあ、いまでもそこからどれほど成長しているのか自信があるわけではないですが、
本質的に何が問題でどことつながっていくのか、ということをよーく見てよーく類推して、仕組んで物事にあたらなければ、やっぱり人事は真には機能しないと経験から実感するようになりました。
評価制度や研修なんかはまさにそうだろうと思います。
特に経営者はいろいろなお考えを示してくださいます。朝令暮改・朝令朝改はしょっちゅうかもしれません。それが経営としては正しい動きだと思います。人事担当よりも経営者のアンテナはかなり広くめぐらされています。そうでなければならないでしょうし、見ている視点も次元が違って遠くにあります。24時間365日会社のことをお考えです。ですから、アイデア豊富で思いつきが斬新です。それでこそ優秀な経営者なのだと思います。
ただ、人事はそうはいきません。今日欲しいと言って採用した人材が、明日いらない、というわけにはいかないのです。もう少し中長期的に動きます。研修だって、今日決めて明日やるわけにはいきません。制度もそうです。頻繁にメッセージや評価基準を変更したら混乱するだけです。
人事は、経営の振り子の振れ幅をよく見ておかなければなりません。振れた時に、すぐに方法論で対応してしまうと、あとあと辻褄が合わなくなります。そして振り子の原点(支点?)は全国一律の労働法規ともいえます。振り子の先と原点をよく見極めて、本質的に取り組み改善・改革すべきことはどこか、その優先度は何かを判断しなければなりません。そこが人事の妙だと思います。
本質的なものを見極め、経営とよく意思疎通をして、方法論ではない本質的な取り組みを追求しなければならないと思います。
(ですから、人事制度はまず基盤整備・基礎工事から、だと思っています。)
残念ながら、そうでないと振り切れた振り子に対する方法論の集合体が何のつながりもなく存在する状態になってしまいます。
思いつきでは人事は機能しません・・・・・。
そこをしっかりとさせるのが「人事ポリシー」です。
会社の「社員に対する考え方」を今一度しっかり作ることを、経営と人事に取り組んでいただきたいと思います。
(続く)。。。振り子の中心は、原点?支点?ほかに何か名前がありましたっけ?