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Column

制度の自由度

2010.9.7

人事制度、とくに評価制度については、その運用力を見ながら作るべきだというのは皆様同意いただけるだろう。

また、評価制度の自由度(型にはまりすぎないということ)が高いほうがいいというご要望もいただく。

さて、自由度が高いと運用しやすいのだろうか。

否、だと思っている。

運用力が高い、評価者間の評価目線が近い、という状態においての評価制度については、自由度、例えば評価項目の選定の自由度などが高くてもいいと思う。そのほうが運用しやすいだろう。

ただ、運用力に不安がある、これまでの評価者教育が十分ではない、評価者の目線が揃ってきていないという状態においては、評価項目・指標については精緻さが必要だと考えている。

ざっくりしすぎていると、何をもって評価すればいいのか、目線は様々になってしまう。
だから、評価に対する基準値が揃うような、型を提示して、その型にそって評価していただくようにしている。

型は大切だ。
いつものたとえで恐縮だけど、ジャズピアノは、自由にやっているようで、しっかりとした理論、型がある。それを知らずに弾く、というのは、まあ「むちゃくちゃ」というやつで、わかる人が聞けば、それはひどいものであろう。プロになるのか、アマチュアでいるのかは、理論や型をどれほど知っていて、それをどれほど駆使し、どの程度自分の裁量・個性をそこに載せて行くか、ではなあいかと思う。自由に弾くというのではなく、例えばプロのアドリブの真似をして練習したりする。(なかなかうまくなんないなあ)。

アマチュアは、ある程度のところでいいと思うけど、プロは極めている。型を知っていてかつ自由にできる人はすごい。
うまい人のジャズっていうのは、もちろんいろんな表現方法はあっても、やっぱりジャズなんだ。決して演歌ではない。基礎は共通だから。

というところで、では評価者は、アマチュアでいいのか。否、プロでなければならない。

ということは、型を理解しておかなければならないと思う。

なので、運用力、評価力がある一定のレベルに到達するまでは、評価項目、評価シートについてはできるだけ多くの目安を設けたほうがいいと思っている。

僕が提示させていただく評価シートは細かい。最初は評価者の皆様には抵抗があると思うが、使ってみると、見るべき点がそれぞれ絞られているため使いやすいという評価をいただく。もちろん、評価しやすいように、選択式の項目も設けている。
(国語のテストとかの回答形式で、選択式と記述式があれば、選択式のほうが楽だと思いますよね)

何度か使っていくうちに評価項目を理解し、日常的な観察眼もできていく。その上で、自由度を高めればいいと思う。

ただ、それでも目安がしっかりと示されている方が、使いやすいし、評価者・被評価者の納得感は高くなると思う。

とはいえ、評価項目は「会社が社員に求めていること」から導かれるが、精緻に作るにしても、その項目はある程度普遍的でなければならない。

毎年変わるような評価項目では、評価者・被評価者が理解する暇がない。少なくとも3年かそれ以上は変わらないだろうという普遍的なもので整備する必要がある。

中期的には変わらない、会社が社員に求める普遍的なものとは何か、この辺が、評価制度の精緻さを作るうえでの肝になる。

そして評価者教育は、まずはこのポイントからはじめることが大切だ。会社が社員に求めることがしっかりあった上で行いたい。管理職研修・評価者研修の効果が一過性に終わりやすいのは、「自社の求めていること」が明確になる前に、研修会社が用意したプログラムを実施するからだ。評価制度に反映されない教育内容は、振り返る機会がないので著しく効果が持続しない。

今日はこのへんで。今回はまじめ。

このへんのことは人事の学校では詳しくお話させていただいています。

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