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Column

人事は数値化できるのか

2010.4.16

紹介いただいて読んだ、ある人事関係の本について。

コンサルさんが書いているものだけど、テーマとしては、人事は数値化をしなければならない、というもの。

面接評定と業績の関係、研修内容と業績の関係、人事制度と業績の関係、理念への共感度と業績の関係・・・。人事担当者が数値化できないと言うこれらの関係は、ちゃんと数値化できるし、しなければならないという内容だと思う。それをしないのは人事の怠慢なんだって。

はい、そのとおり。できれば数値化するべきだろう。

僕も、適性検査の結果とうつ病での欠勤者との関係、適性検査と業績の関係を捉えようとしたことがあった。うん、ないことはない。

ただね、ないことはない、っていうことで、適性検査の指標がそれらと確実に結びついているかというとそうではないんだね。

ベンチャーにいると難しいのは、高業績者とコンピテンシーの相関、高業績者と採用時の評点との相関などをとろうとしたとき、「そもそも高業績者とは誰か」という問題があるわけ。本人ががんばったから高業績なのか、周囲が協力してくれたから高業績なのか、運がいいのか、クライアントに恵まれているのか、上司受けがいいのか・・・・。

だから、前提として、各種施策と高業績者との関係は数値化できるという前提が、最初に崩れちゃう。

平均勤続年数が短いという問題、過去の人事データが整備されていないという問題、今日の高業績者が明日の高業績者ではないという問題、高業績だけど退職してしまうこともあるという問題・・・、これら可変要素、不確定要素が非常に多いというのが人事担当者が直面する問題だ。

だから、研修の企画を出しても、「それってどのくらい効果があるわけ?」と言われることは多いけど、ほとんどの場合、変化が緩慢な大手企業でない限り、3年後にその効果を測定することはできるかもしれないけど、いますぐ数値を示すことはとても難しい。
そもそもやったことがない研修をやろうって時には、やっぱりどうしても人事担当者の信念とか勘とかを頼りに押し切ることも必要だと思う。

怖いのは、それが示せないから、企画を出せない、通せないということ。

だから、いたずらに数値化・科学ということを先行させることも危険だと思う。

でも、数値で示すことができたかもしれないというのは、理念浸透度と部門業績の関係。それは肌で感じていた。仕事の意味を理念からブレイクダウンして語れるメンバーの多い部門は業績が高い。これは事実だったと思う。

・・・それでもやっぱり、「理念浸透度が高い部門は業績も高い」ってわざわざお金と手間をかけてサーベイとらなくたって、そういうことを事例をあげて社長に説明すれば納得いただけたりするから、相関性を数値で証明しなくたって、仕事できたりするんだよね。

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