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Case
株式会社デジタル・フロンティア

クリエイティブ業界特有の課題、評価制度の見直しへの挑戦

取締役 K.A氏
管理部管理室 室長 Y.T氏

株式会社デジタル・フロンティアは、実写合成のVFX、作画ベースのセルルックアニメーション、フルCGアニメーション等、幅広いジャンルのデジタル映像制作を手掛けている総合映像プロダクションです。しかし、近年は評価制度の不明確さやコミュニケーション不足により若手社員が離職してしまうという課題を抱えていました。今回のインタビューでは、デジタル・フロンティアの管理部門で活躍するK.A氏とY.T氏に、制度改革の背景と、その効果についてお話を伺いました。

若手がのびのびと活躍できる職場づくりを

―お二人の現在の役割を教えてください。

浅井: 私は会社の管理部門全般を統括しています。具体的には人事、総務、法務、経理、財務といった部門です。立ち上げ当初から一人でやってきましたが、今では専門スタッフが揃い、たくましい組織に成長しました。

立田: 私は人事として中途入社し、昨年10月から室長となり管理業務全般を任せていただいています。人事制度の改革においては、私がメインで推進しています。

―人事制度導入のきっかけはなんだったのでしょうか?

浅井: 弊社は2000年に設立され、24年目を迎えましたが、創業時から現会長の植木をトップに据えて、現社長である豊嶋と私の3人で運営してきました。カリスマ性のある豊嶋を中心に今の強力な組織の基礎をつくりましたが、組織が大きくなるにつれて硬直化を感じるようになっていました。そこで、若手をどんどん抜擢できるような評価制度にしたいという豊嶋の思いから、人事制度の見直しが動き始めました。

立田: 弊社社員の平均年齢は35〜36歳です。創業時のメンバーは長く在籍している一方で、退職者の6~7割を若手社員が占めていました。コアとして育ってほしい若手社員が転職していくことが現状の大きな課題です。若手の離職を止めること、そしてコアメンバーとして活躍してくれる人材を抜擢することを目的に今回人事制度の見直しに取り組みました。

―フォー・ノーツにした決め手はなんですか?

浅井: 人事制度を変えなきゃいけないと3、4年ぐらい悶々としていて、頼れるコンサルティング会社を探してはいたものの、なかなか見つからない状況が続いていました。そんな中、立田から、以前より尊敬している西尾さんにお願いしたいと提案があり、フォー・ノーツさんに依頼をすることにしました。

立田: 以前、他で人事制度の導入をし、その時は法令遵守を重視していました。今回はさらに基礎をしっかりと固めつつ、クリエイティブ領域独特の文化と制度がうまくマッチするような、新しい方向性にチャレンジしたいという思いが強くありました。クリエイティブに理解のある西尾さんの経歴が決め手となり、フォー・ノーツさんに依頼しました。今後の制度構築に向けて経営層がどのような考えを持っているかなど、私だけではヒアリングしきれない点を掘り下げていただけ、いままで組織をつくってきた想いを整理し、評価をはじめとした制度へ反映するところまで、フォー・ノーツさんにならお任せできるだろうと思いました。

人事制度導入の難しさと変化

―新しい制度作りで苦労された点はありますか?

立田: そうですね、1番難しかったのは等級に対する行動要件の設定です。若手を抜擢していくためにどういうシステムで実行・定着させるかを考えるところが苦労した部分ですね。最終的には、評価基準を全員一律ではなく等級ごとに分けるシステムに落ち着きました。このシステムにしたことで若手社員は昇給・昇格の機会を年2回にしました。

―導入してみてどうでしたか?

立田: 評価者の社員からは、1 on 1でコミュニケーションをとる頻度が上がり、日々の業務をお互いに振り返ることでより評価しやすくなったという声もあがるようになりました。そういうベース作りをしていただいたところが非常によかったですね。これまではコミュニケーションの機会が少なかった点、実際に制作しているプロジェクトが違うと所属社員の働き方が見えず、評価がしづらいという点がネックでした。そういった部分は1on1による定期的なヒアリングをし、そこで評価しきれなければ直属のプロジェクトリーダーに評価者がヒアリングするという運用方法も固めることができました。 また、管理職研修をする中で、評価者になる社員に対して「評価者とは」という定義づけや意味づけをしていただいたり、弊社の特性を知っていただいた上で、新制度を落とし込んでいただいたりしたことがより効果的になっていると思います。

浅井: あと、大きい部分でいうと、西尾さんに入っていただいたおかげで、交通整理がうまくできた部分はあると感じています。ポリシーを制定するときに発生する二択の選択肢を明確にすみわけしてくださったおかげで、素早く正確な判断ができました。我々は業界の特性柄もあり、優柔不断というかファジーなところがあるので、なかなか判断ができない部分に対して大まかな方針を決めて、方向性を整理する土台を作っていただけたっていうのは非常にありがたかったですね。

―制度の運用で苦労された点はありますか?

立田: 正直、「行動評価」の項目が細かくて、評価すること自体に苦労しました。やっぱり見るポイントが多いので。逆に、評価を受ける側としては明確な基準があるのでメリットが大きい。ただ、評価者としては大変だったようですね。

浅井: 担当者である立田が優しすぎるのかもしれないです。今回は評価を受ける側の社員を盛り上げようっていう目的だったので、評価する側の社員には強い意志で制度変更の目的を主張して、協力をお願いしてほしいところではあるんですけど、評価する側にも寄り添ってしまう結果、板挟みになることもありました。人を評価するのが苦手な人も多いので、その難しさは十分理解していますけどね。
でも、そろそろやっていかないとっていう認識は彼らにも浸透してきています。もうちょっと楽にならないかという声も上がりますが、意識が変わってきている感覚はあります。

人事制度導入の効果

―課題だった離職率は改善されましたか?

立田: 導入して半年程度なので実際にはまだ反響を確認できていないですが、これからどう変わってくるのかっていうところは、継続的に見ていきたい部分ですね。

浅井: 先日まさに導入後初めての評価が終わって、その評価が反映された1回目の賞与がありました。その反応がどうなるのか、楽しみでもあり、緊張でもあります。

―そのほかに社内で変化は見られましたか?

立田: 今まで室長が全て組織マネジメントし評価を担っていましたが、対話できる組織にするために適正マネジメント数から見直しました。一部組織を細分化し、新しくグループリーダーという役職をつくり、しっかりとコミュニケーションが取れ、マネジメント、評価に繋がる体制となりました。より若手にも目が届きやすくなっていますし、互いに相談しやすい環境が整ってきていて、会議室を見て回ってもコミュニケーションをとる姿をよく目にするようになりました。新しいポジションができたことにより、キャリアとしてチャンスが生まれています。

浅井: 若手に向けた研修も始められています。若いうちからそういう研修を受けることによって、組織がどんどん強くなってほしいという期待はあります。

立田: 先月行った新任管理職の研修には30代前半の社員が多く参加してくれました。マネジメントについて、これまでふわっとした理解だった部分も正しく体系的にインプットできて、今後組織をマネジメントする中での指針ができたという声が上がっています。

浅井: 今までそういう集団での研修をやれていなかったので、マネジメントは個々のやり方に委ねられていました。今回制度を導入したことで、このばらつきが解消し、全員が同じ目線に立てるようになったのは大きな進歩だと思います。

印象に残った出来事

―制度を導入する中で印象に残っていることはありますか?

立田: 評価する側から「もっとこうしたら良くなるんじゃないか」と意見が活発に上がってきたことが印象に残っています。制度を導入・定着させていくなかで批判的な意見も正直ありますが、弊社に合った仕様に制度をバージョンアップしていきたい、より良い制度にしたいという思いを評価する側の社員から感じます。評価者が自分事として捉えてくれているということなんですかね。これからの効果に期待していきたいです。

浅井: 今後、全員一丸になってくれることを期待しています。社内での前向きな世論がちょうど広がってきたところなので、本当にこれからですね。

立田: 私の役割はその世論を広げていくことです。1 on 1のコミュニケーションがやっと定着し始めたので、文化として当たり前になるように運用していきたいと思っています。まだ実現できていない部署もあったりするので、徐々に広げていきたいですね。

自社に合わせた制度のバージョンアップ

―今後の構想について教えてください。

立田: 運用を始めた制度を定期的に振り返り、弊社の業務や求める行動に合わせて少しずつブラッシュアップしていきたいと思っています。スキル要件の評価も取り入れましたが、各等級に求めるスキルをもっと明確に細分化すべきなのかについて検討していきたいですね。今は将来的にマネジメントに関わってもらう前提でキャリアステップや等級制度を組んでいるのですが、豊嶋の考えとしては、クリエイターのスペシャリストとしての評価もしていきたいということなので。

浅井: 経営者目線からすると、評価する側がもっとリテラシーを上げられるか、評価される側の納得感が上がるか、というところを見極めていきたいですね。あとは、マネジメントに割ける時間をどう増やすかですね。現状では、弊社にいる80名ほどの評価者のほとんど全員が現場の業務も行っているので、マネジメントに余裕をもって携われるようになればもっと効果があるだろうなという気はしています。

人事に悩む組織へのメッセージ

―最後に、人事に悩む組織へのメッセージをお願いします。

立田: 組織が大きくなればなるほど、コミュニケーションを取るのは大変です。人事評価はお互いの信頼と納得の上で成り立つので、コミュニケーションを重要視した制度づくり、運用が大切です。

浅井: クリエイティブ業界で重要なカギを握るのはスペシャリストなので、それを評価する適切な基準を作っていく必要があります。経営陣がクリエイターを尊重して、頑張ってもらえるようなコミュニケーションを取り続けられるか。そういった会社側のビジョンはすごく大事ですね。

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