2024.02.26
会社はあなたを不要と判断したとき、どんな動きをするのか。前回は中高年のリストラ回避法についてお伝えしましたが、今回はこのテーマについてもう少し深掘りしてみましょう。 この人は給与に見合った働きをしていない、このまま会社にいてもらっては困る。会社がそう判断したときの最初の動きは、「解任」と「異動」です。
会社はあなたを不要と判断したとき、どんな動きをするのか。前回は中高年のリストラ回避法についてお伝えしましたが、今回はこのテーマについてもう少し深掘りしてみましょう。
この人は給与に見合った働きをしていない、このまま会社にいてもらっては困る。会社がそう判断したときの最初の動きは、「解任」と「異動」です。
50代になると、部長や課長などの役職についている人が多くいます。役職を解任されるのは、「このままでは、あなたを不要と判断しますよ」という会社からの警告と考えてください。
自己申告制度を導入している会社では、社員の満足度などを調査し、問題のある部門や部署を発見しやすくしています。例えば「大阪支社の満足度が低い」となったら人事が内偵に入りますが、「満足度が低いという状態にしていることが、そもそも管理職として能力がないよね」と判断されます。
自己申告制度がなくても、「〇〇さんの部署って若手が辞めてるよね」「異動希望を出している人が多いよね」「人を育てることができないよね」といった情報は、会社も当然、把握しています。経営と人事で「こんな状態ですけど、どうします?」と話し合い、「厳しいね」となったら、解任となります。
解任されても「担当部長」「部長補佐」など別の肩書きが与えられる会社もありますが、ヒラに落とされることも多く、そのままその部署には居づらいだろうな、ということで異動してもらったりします。
このような場合の異動は、「場所が変わったら活躍してくれるんじゃないか」「パフォーマンスを上げてくれるんじゃないか」「変わってくれるんじゃないか」と、覚醒を促すことが目的です。
それでもダメだったら、もう一回、異動させて、だんだん閑職になっていきます。それが、いわゆる窓際族です。けれど、窓際族を置いておけるほど余裕のある会社は減ってきています。そのまま退職勧奨される場合も少なくありません。厳しいですが、これが第一の動きとなります。
第二の動きは、「評価を下げる」です。それにともない、給与も下がり、ボーナスも下がります。これも、「このままじゃダメですよ」「行動を改めてくださいね」という会社からのメッセージです。
本当に不要と判断されたら退職勧奨になりますが、「評価が下がる」「給与が下がる」は、その前段階として「このままだと不要と判断しますよ」「退職勧奨になりますよ」という予告です。
評価制度が整っていない会社では、上司はあまり低い評価はつけません。低い評価をすると、理由を説明したり、フィードバックをするのが面倒だからです。
このような場合は、人事から上司に「この評価でいいんですか?」とプレッシャーをかけます。「だけどさあ、しのびないじゃん」「娘が来年、大学受験だしさぁ」などと言われたりしますが、「いやいや、しのびないとか言っているから、こうなっちゃったんでしょう? ダメなものはダメなものと言いましょうよ」と適切な評価を促します。
評価や給与が下がった理由について、きちんとフィードバックしてくれる会社だったら、指摘を真摯に受け止めましょう。行動を変えれば、復活できます。評価や給与が下がっても何も言ってくれない会社だったら、そのまま何もしなければ、退職勧奨になってしまいます。
上司に「私の課題を教えてください」とお願いする。上司が何も言ってくれない場合は、同期や周囲の人に「俺ってどう?まずいところがあったら教えて」と聞いてみる。こうした行動が必要です。
経営陣や部門長が集まる評価会議では、「給与分の仕事をしていない」と判断された社員はリストアップされています。「この人、イエローカードだね」「もう2回目ですよ」「じゃあレッドカードだね」といった話し合いが行われ、レッドカードになれば、退職勧奨です。
評価が下がり、給与が下がったら、カラータイマーが点滅しています。早急な対処が必要です。
第三の動きは、「希望退職」「早期退職」のお誘いです。博報堂では早期退職、フジテレビでも希望退職の募集が発表されました。会社が早期退職や希望退職の制度を導入し、「これに応募してみませんか?」と声をかけてきたら、「お辞めになりませんか?」という遠回しな退職勧奨です。
退職勧奨とは、会社があなたを不要と判断したときの最も重い措置です。
前回もお伝えしたように、会社は社員を簡単にはクビにできません。社員を解雇できる正当な理由は、度重なる欠勤・遅刻などの労働契約不履行、もしくは不正くらいしかありません。
それ以外の理由は不当解雇にあたり違法となりますが、退職勧奨は「お辞めになりませんか?」と「おすすめ」しているだけですから、違法ではないのです。
「3ヶ月間は有給扱いにしますから転職活動してみませんか?」「今だったら退職金をたくさん払いますよ」といった条件面の提案も行われます。同意すれば、労働契約の合意解約となり、「あなたも合意して、お辞めになりましたね」という形をとって労働契約を解消します。
退職勧奨はあくまで会社からの提案ですから、拒否すれば退職にはなりません。なりませんが、評価や給与が下がったり、職場に居づらくなっていきます。
会社が早期退職・希望退職の制度を導入したら、「不要な人には辞めていただきたい」という意思表示と受け止めてください。おもなターゲットとなる45歳以上の人は、特に注意しなくてはいけません。
会社が不要と判断するのは、「有害」な人です。給与に見合った活躍をしない、ハラスメントをするなど、他の社員や組織に悪影響を与えることが「有害」と考えられます。
このような人には、いなくなってもらうか、変わってもらわないと、周りがしんどくなります。本人の問題だけでなく、他の社員が辞めたり、病んだりするので、会社としては手を打たないとまずいのです。
次は「無害」な人です。無害とは、いてもいなくても一緒ということ。マイナスもないけれど、プラスもない。無害な人材でも許容してくれる会社ならいいですが、早期対象・希望退職を導入する会社が増えているのは「無害では困る」というメッセージです。「有益」な人材にならなくてはいけません。
無害なままでも会社が許容してくれるのであれば、定年まで逃げ切るのもひとつの方法ですが、やはり心機一転、頑張ることをお勧めします。
「50代は変わらない」とよく言われますが、変われる人もいます。年功序列の評価制度を変えて、ダメな点はきちんとフィードバックしてもらうようにすると、今まで言われていなかったことを指摘されて、「初めて気づきました!」と驚く50代の人が多くいます。
リストラの対象になりがちな「パフォーマンスより給与が高い人」は、今まで何も言われていなかったから、自分の課題に気づいていないことが多いのです。フィードバックを受けると、すねる人、まったく気にしない人、反応しない人もいますが、気づいて変われれる人もいます。
人はいつでも変われるのです。50代だから変われない、なんてことは決してありません。
会社から不要と判断されてしまったことを真摯に受け止め、働き方を改めたほうが、あなたも幸せだし、周りもだし、家族も幸せです。変わるべきなら変わったほうが、みんながハッピーになれます。
解任・異動になる、評価・給与が下がる、希望退職・早期退職を勧められる、こうした場合は、自分を変える機会と受け止め、ピンチをチャンスに変えましょう。
次回につづく
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
コロナ禍前後からリストラの対象となっているのは、おもに45歳以上の中高年です。しかし40代、50代になったからといって、誰もがリストラされるわけではありません。歳を取っても会社で生き残れる人には、3つの特徴があります。 1つは、マネジメント力があること。マネジメント力には、「タスクマネジメント」と「ヒューマンマネジメント」の2つのスキルがあり、どちらも重要です。
あなたは「磯野波平さん」の年齢を知っていますか? そう、あの国民的人気アニメ『サザエさん』に登場する、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんのお父さんで、フネさんの旦那さん。家ではいつも着物姿で、ハゲた頭頂部に1本だけある髪の毛がトレードマークの波平さんです。
私たち50代がリストラ時代を生き抜くために避けて通れないポイントは、若い世代から「老害」と思われないことです。 「50代はまだ老人じゃない」と思われるかもしれませんが、年齢は関係ありません。老害とは、自分より若い世代に迷惑をかけること。 30代であっても、20代に迷惑をかけていれば「老害」と呼ばれます。
「年下上司と、どのように付き合ったらいいのでしょうか?」50代の方々から、このようなご相談をよくいただきます。かつての部下や後輩が出世して自分の上司になってしまう。たしかに悩ましい問題ですよね。そこで今回は「年下上司との上手な付き合い方」について、お伝えしたいと思います。
「ベテランはリストラの対象になりませんか?」ある人からそう聞かれました。今回は、この質問に答えてみたいと思います。ベテランとは、基本的には褒め言葉です。「あの人、ベテランだよね」「さすがだよね」と言われるのは、技術・技能に長けていて、知識も豊富で信頼が置ける人ですよね。
50代になってくると、若い社員との世代間ギャップを感じることが増えてきます。世間話でテレビの話をすると、まったく通じないことも多く、「テレビ見ないんで」と言われて愕然としてしまったりします。これは私だけではないと思います。職場で世代間ギャップを感じている中高年の方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、「世代間ギャップを超える中高年の技」についてお伝えしたいと思います。
東京商工リサーチによると、2021年に希望退職を募った上場企業は80社以上。上場企業の希望・早期退職募集は2019年以降、3年連続で1万人を突破。2021年の募集者数は判明しているだけでも1万5000人を超えています。 コロナ禍によって経営が悪化した企業もありますが、大手企業の多くは黒字経営にもかかわらず希望退職・早期退職という名目の大規模なリストラに踏み切っています。なぜこれほどリストラ増えているのか。いま一度、その背景を理解しておきましょう。
「日立 全社員をジョブ型に」というニュースが日経新聞の1面トップになっていました。日立製作所は今年7月にも事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を器用する「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げるということです。ジョブ型雇用、テレワーク、ワーケーション、週休3日制など、働き方の多様化が急速に進み、戸惑いを感じている人も多いでしょう。ですが、働き方が変わっても、大事なことは変わりません。