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第7回 「業務」と「ミッション」の違いが分からない社員は、人事から一生評価されない

がんばっているのに評価されない、給与が上がらない、昇進できない。 そういう人に多いのは、がんばり方がズレているケースです。 まずは自身のミッションを改めて確認してみましょう。ここからすでにズレている人が多いのです。会社や部署が求めていることと、自身が思っているミッションが違っていたら、会社からは評価されません。

がんばっているのに評価されないのはなぜか?

がんばっているのに評価されない、給与が上がらない、昇進できない。
そういう人に多いのは、がんばり方がズレているケースです。

まずは自身のミッションを改めて確認してみましょう。ここからすでにズレている人が多いのです。会社や部署が求めていることと、自身が思っているミッションが違っていたら、会社からは評価されません。

私はさまざまな企業の目標設定会議に参加させていただいているのですが、「あなたのメインミッションは何ですか?」と質問されたときに、答えられない人がとても多くいます。管理職でも少なくありません。

たとえば、経理の社員に「あなたのミッションは何ですか?」と質問すると「数字の管理です」と答える。それは「業務」であって、ミッションではありません。

ミッションとは、果たすべき使命です。

各企業には、会社、部署、個人としての、それぞれのミッションがあります。会社のミッションとは、その事業を通して何を成し遂げたいのか、社会に対してどのような価値を提供できるのか、自社の使命と存在価値を示すものです。

個人のミッションは、会社や部署のミッションを実現するために、自身の仕事を通して何を成し遂げたいのか、社会や会社に対してどのような価値を提供できるのか、自分の使命と存在価値を示すものです。

人事評価は、会社と部署のミッションに基づいた「個人の目標」を達成できたかどうかで判断されます。その目標に対する「成果」や「行動」が、評価基準になります。そもそものミッションを正しく認識できていなければ、適切な目標設定ができません。

先ほどの経理の例でいえば、「数値を迅速に確定し、経営者が的確な経営判断を素早くできるようにする」「予算に対する実績を確認し、各事業の収益状況を示し、事業判断を促す」などが考えられます。

これらの「ミッション」を遂行するうえでの、毎期の「目標」が設定されます。
だからこそ、目標が間違っていたら、評価されないのはもちろん、昇給も昇進もできないのです。

できるだけ具体的な目標を設定する

目標設定をする際には、できるだけ具体的な目標を設定しましょう。たとえば経理でいえば、以下のような目標をよく見かけます。

「経費計算のスケジュールを周知徹底する」
「決算仕分けのミスを極力なくすように努力する」
「新会計システムの導入を着実に実施する」

徹底する、努力する、着実に、実はこれらはすべてNGワードです。こうした曖昧な表現は、いってみれば「西をめざす」という目標です。

考えてみてください。「西をめざす」では、東京から静岡まで行けば評価してもらえるのか、名古屋まで行けばOKなのか、目標が曖昧で、達成基準の捉え方が人によって異なります。これでは目標を達成しても、適切な評価を受けられません。

目標は「1月23日18時に新大阪駅中央改札口に集合」といった、達成基準が誰の目にも明らかなものにしましょう。目標が漠然としていると、上司の主観で判断されやすくなり、たとえ結果を出しても、評価されるとは限りません。

また、上司と部下でミッションの認識がズレている場合もあります。部長と課長、課長とメンバーでもズレている。目標設定会議をしていると、このようなケースが非常に多く見られます。上司とミッションの認識が異なっていたら、目標もズレたものになり、見当違いの努力をすることになりかねません。

自分の仕事を適切に評価してもらうためには、会社や部署、自身のミッションを改めて確認し、上司とベクトルを揃えた目標を設定することが大切です。

あなたの「お客様」は誰ですか?

目標を設定する際には、自分の「お客様」は誰かを考えてみることも大事なポイントです。

あらゆる仕事は、顧客に価値を提供するために存在しています。自身の仕事における顧客とは誰なのか、どのような価値を提供すればいいのか、それを考えることが目標を明確にすることにつながります。

このような話をすると、経理や総務など管理部門の社員から「私たちの仕事にはお客様はいません」と言われることがあるのですが、お客様とは「自分が価値を提供する相手」です。それはエンドユーザーとは限りません。

経理や総務だったら、まずは経営者です。たとえば経理であれば、経営者に対して正確な数字を早く届ける。月次決算に7営業日かかっていたとしたら、それを5営業日に短縮できたら、それだけ早く経営判断ができますよね。

上場企業だったら、株主です。株主に対して適宜数字を出すことも経理として大事な仕事です。総務にしても、株主に情報提供をする仕事があります。

社員に対しても、どんな価値を提供できるのか考えてみましょう。たとえば経理だったら、社員が経費計算に労力を使わなくて済む仕組みを考えてあげる。伝票を書いたり領収書の整理に時間を割かなくても済むようにして、より仕事に専念できる環境を整えてあげれば、会社全体の生産性が向上し、自身の価値も高められます。

どんな企業でも社員に求めていること

ミッションは企業によって異なりますが、会社が社員に求めていることは、どの企業でもほぼ共通しています。それはおもに以下の2つです。

・生産性を上げる
・価値を高める

生産性を上げるために効率を高めれば、経費が削減され、利益につながります。価値を高めれば、売上につながります。個人の目標にすべきことも、この2つです。

がんばっても評価されない人は、この2つができていないことが圧倒的に多いのです。
自身のミッションを改めて確認し、適切な目標を設定しましょう。

日本では、人口減少・少子化が加速することはすでにわかっています。
生産性を高めることは、今後は特に重視されていくはずです。

管理部門など、目標を数値化するのが難しいとされている分野もありますが、たとえば2人で行っていた仕事を1人でできるようになれば、生産性は倍になります。新しい仕組みを考えることができれば、会社の生産性も向上し、自身の価値も高めることができます。このような発想で、目標を見直してみましょう。

あなたのミッションは何ですか?
価値を提供する相手は誰ですか?

自身の仕事を振り返って、改めて問い直してみてください。

次回に続く

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