人事評価においては、上司から部下へのフィードバックが重要です。しかしフィードバックをしない、あるいは適切なアドバイスをしない管理職も少なくありません。そこで今回は、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、フィードバックの目的について解説します。

あなたの会社では、人事評価の運用のことを、どのように呼んでいますか?
考課、査定、評価…、会社によって呼び方が違いますよね。
年功序列型の老舗企業では「考課」「査定」と呼んでいるケースが多く、
成果主義型の成長企業では「評価」と呼ぶことが多いようです。
社員のパフォーマンスや目標の達成度などから、給与や等級を決定する。考課も査定も評価も、意味としてはあまり大きな違いはなく、いずれも上司から部下へのフィードバックが重要になります。
しかし、フィードバックをしない、あるいは適切なアドバイスをしない管理職も少なくありません。特に「考課」「査定」と呼んでいる年功序列の企業ほど、フィードバックをしっかりとしない上司が多いようです。
これは、年齢や勤務年数によって給与や等級が決まることに理由があるのでしょう。年功序列の企業では、社員の6〜7割が、真ん中の「B評価」になることが多く、成果や行動ではそれほど大きな差はつきません。よっぽどのことがない限りは、自動的に昇級・昇給をしていくので、課題を指摘して雰囲気を悪くするよりも、末長く仲良くやっていきましょう、和をもって尊しとなす、という社風が影響しているのだと思います。
フィードバックどころか、人事評価の面談すらなく、給与明細やボーナスの通知を見て「俺、今回は評価が悪かったのかな?」と、自身の評価を初めて知るような会社も多くあります。
上司がフィードバックをしなくても、部下が自然に成長し、会社の業績も安定して伸びていくのなら、それでもいいのかもしれません。しかし、今の時代、そんな会社がどれだけあるのでしょうか?
コロナ禍で倒産や休廃業が相次ぎ、社員の高齢化や定年延長によって人件費が高騰し、大手企業ですら黒字リストラが増えています。少子化も止まらず、採用難・人材不足も加速しています。社員を適切に評価し、フィードバックで人材育成をしていくことが、やはり必要なのではないでしょうか?
フィードバックとは、上司と部下が双方で話し合い、課題や解決策を共有することです。
良い点は褒めて伸ばし、改善すべき点は指摘し、
社員の成長を促していくことによって、会社全体の業績アップにもつながっていきます。
人事評価のフィードバックをしない、あるいは簡単に済ませる上司には、2つのタイプがあります。
1つは、1on1ミーティングなどに熱心に取り組んでいる企業の上司です。
近年、上司と部下の1対1のコミュニケーションに力を入れる企業が増えています。月に1〜2回、30分程度の時間を取るケースが多く、毎週1回は必ずやっている企業もあります。
1on1には、上司が部下に「あなたのことをちゃんと見ていますよ」という姿勢を示すことによって、人材を育てたり、若手の離職を防ぐなど、さまざまな効果があります。
こうした企業では普段からフィードバックを行っているので、半年や1年に1回の人事評価を伝える際には、改めて言うことは多くありません。評価結果を伝えるだけで、フィードバックも簡単に終わります。日頃からコミュニケーションを深めていれば、たとえ低い評価をされたとしても、部下は納得感が得られます。
もう1つは、正反対のタイプです。日頃から部下とのコミュニケーションを取っていないので、人事評価を伝える際も何を言っていいのかわからず、フィードバックを手短に済ませる上司です。
具体的なアドバイスはなく、「最近どう?」「とにかく頑張ろうぜ」といった抽象的なコメントに終始したり、「いや〜俺が至らなくて、本当だったらA評価を取れたんだけど、Bになっちゃったよ」などと、よくわからない言い訳をして、「じゃ!」と逃げるように去っていきます。
当然、これはNGです。部下が聞きたいのは、言い訳なんかではありません。
自分のどこを伸ばし、どこを改善すればいいのかという、的確なアドバイスです。
管理職の仕事とは、目標設定や計画立案、進捗管理などのタスクマネジメントだけではありません。
人材育成や動機づけ、人材発掘・活用などのヒューマンマネジメントも重要な仕事です。
フィードバックをしない上司がダメな理由は、自分の仕事を理解できていないからです。
人事評価もフィードバックも、人材育成のためのヒューマンマネジメントです。
部下の育成は、上司の重要な仕事。上司には、部下を育てる責任があるのです。
人事評価のフィードバックに限らず、普段から部下とのコミュニケーションを深め、得意分野を伸ばすように働きかけ、苦手分野は致命的になることを回避できるようにアドバイスする。プラス・マイナスの両面について普段からフィードバックをしていく。こうした行動が部下の成長につながっていきます。
それをやらないのであれば、上司としての仕事を半分しかしてないことになります。
部下を育てる気がないのなら、そもそも管理職をすべきではありません。
…という話をお伝えすると、「そうだよね」と納得していただけることが多いのですが、
残念ながら、実際にはきちんとフィードバックをしていない人が非常に多くいます。
人事制度の導入をお手伝いして、半年後に管理職の方々に「この評価シートを使って部下と何回コミュニケーションを取りましたか?」と質問をすると、0回というケースも少なくありません。
理由はさまざまでしょう。業務が忙しすぎて、部下にフィードバックをしている時間がない。何をどう伝えればいいのかわからない。部下とのコミュニケーションの仕方に悩んでしまう。
ただ、いちばんは「部下を育てることが上司の仕事である」と認識できていないことではないでしょうか?
それを伝えるのは、人事の役割です。評価は何のためにするのか。なぜフィードバックが必要なのか。
管理職にしっかり伝えて、認識を変えていきましょう。
私は「考課」や「査定」という言葉には違和感があり、「評価」という言葉を使っています。
考課とは、勤務成績を調査し優劣を決めること。査定とは、家や車に対して使われるように金銭的な価値を決めること。どちらも「人を育てる」ことに結びつくにくい印象があります。
人を育て、人を活かす。そのための施策を考えるのは、人事の重要な仕事です。
「考課」や「査定」という言葉を見直してみるのも、
人材育成に対する意識を変えるきっかけになるかもしれませんよ。

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?

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多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
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ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
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テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

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次のステージに向けて成長するためのキホン
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「この会社にいても外で通用しない」など理由は様々。こうした時、若手社員の不満に耳を傾けたり、柔軟な働き方を提案することで退職を思いとどまらせることができるかもしれません。
人事担当者が覚えておくべき心構えにはどんなものがあるのでしょうか?
今回は社員とどのように向き合っていけばいいのか、フォーノーツ代表の西尾がお話しします。
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