2020.08.14
新型コロナウィルスによる業績低迷で、多くの企業において給与支払いの負担が大きくなっています。給与を削減する対応策の一つが、従業員をある期間休ませる一時帰休。 今回は、この一時帰休についてその仕組みと特徴をご説明いたします。
一時帰休とは会社が経営難に陥った際に、従業員を一時的に休業させることです。休業中も雇用関係は継続したままであることが特徴です。
ほかに、一時解雇(レイオフ) という言葉を目にすることもあると思いますが、これは一時帰休とはまったくの別物です。海外で用いられる手法の1つで、企業が将来の再雇用を約束したうえで解雇し、会社の業績が回復したら再び雇用します。一度、雇用関係を解消してしまうため、再雇用が行われないケースも多いのが特徴です。
一時帰休と一時解雇はどちらも、人件費の削減をしつつ人材の流出を防ぐ目的で行われますが、一度解雇をするか否かが、制度的にも従業員との関係的にもポイントとなってきます。
一時帰休の特徴は、雇用関係が継続したままであることです。しかしながら、この雇用関係の継続はメリットとデメリット両方の側面を持っています。
具体的には、メリットとしては「人材流出の危険が小さい」こと、デメリットは「休業手当を支払う必要がある」ことです。
一時帰休中の従業員には平均賃金の6割以上の給料を払う必要があります。そのため、人件費削減の効果は薄れてしまいます。しかし、会社が元気になった時にすぐに戻ってきてくれるだろうという安心感はあります。
バブル崩壊後には、多くの企業が人件費削減のためにリストラを行った結果、専門技術を持った多くの社員が別会社へ流れていきました。こうした過去の事例から考えるのであれば、一時帰休という選択肢はありと言えるでしょう。
一方、海外で一般的に用いられる「一時解雇」は休業手当を支払う必要がないので、メリットが大きいのでは?と考えるかもしれません。
しかし、この一時解雇を日本で実行するには下記の四つの要件を満たしている必要があります。
【整理解雇の四要件】
①会社の存続のために人員整理が必要な事
②会社が解雇回避の努力をしている事
③解雇の対象者の選択が合理的である事
④そして解雇対象者や労働組合の納得、合意を得られている事
海外とは異なり、日本では解雇そのものに対するハードルが高く設定されているため、一時解雇を日本で実施することは現実的とは言えません。
厚生労働省では現在、新型コロナウイルスの影響により雇用調整を実施する事業主に対して、休業手当の一部を助成する雇用調整助成金を特例措置で実施しています。この助成金は通常時にも存在する制度ですが、特例措置により助成率及び上限額の引き上げが行われています。
支給対象となる条件は、
コロナウイルスの影響により経営が悪化し、最近一か月の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少していることです。
また助成率は、企業の規模や事業主が雇用を維持したか否かによって変わりますが、解雇等を行わず雇用を維持した中小企業の場合は、1日15000円を上限額として全額が助成されます。なお、8月14日現在の制度では、9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間が対象とされています。9月30日までの期間を延ばす案も検討されているようですので、最新の情報を確認していただくことをお勧めします。
今回の特例による雇用調整助成金は、適用条件が厳格ではなく助成額も大きいため、従業員に一時帰休してもらう場合でも大きな手助けになりそうです。
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「人事異動」は誰にとっても大きなイベントですが、人事担当者にとってはまた異なった意味を持ちます。
では人事担当者はどのように進めるべきなのでしょうか?
そして人事になりたての人間は「人事異動」に向けてどのように振る舞えばよいのでしょうか。
著者の経験談も混じえて解説いたします。
人事制度の改革には反対意見がつきもの。
私たち人事はその反対意見に対して
どのように対処していけばいいのでしょうか?
今回は人事制度改革を行うにあたり、
意識しておくべきことをご紹介いたします。
「そろそろ評価の時期だから、気にしておかなきゃ」
このように考える人は、評価する管理職にも、評価される社員にも少なくありません。
「評価の時期だけ自分の評価を気にする」――果たして、それで良いのでしょうか?
経営陣から下りてくる人事施策が果たして本当に人事ポリシーに則っているのか?
それを判断するのは人事の役目です。
そのために必要な「人事の人事ポリシー」とは?
会社は利益を追求する組織ですが、社員に求めるものはそれだけではありません。
会社における「困った人」を出さないために、人事は社員を評価する制度をしっかりと定めましょう。