2019.02.01
人事制度の中でも人気のある「研修」。
自社の弱いところにピンポイントで対策ができるので、重宝されていますよね。
しかし研修は実施すればそのまま成長につながるわけではありません。
しっかりと考えないと、研修が様々な無駄を生むもとになってしまいます。

人事の仕事の一つが、「研修制度の導入」 です。本来、研修とは「会社が与える成長の機会」であると考えられているため、他の様々な人事制度と比べると、社員も不満を抱きにくいと言われています。しかし、会社側が「与える」という姿勢を強めすぎてしまうと、成果を伴わない独りよがりの施策になってしまい、不満のもとになってしまうことがあるのです。社員に前向きに取り組んでもらい、しっかりと結果をだせる研修にするためには、何が必要なのでしょうか?
例えば自社の分析を進めていく中で、営業が弱点であることが分かったとします。すると多くの会社で、「営業力を高めるための研修」を取り入れることになるのではないでしょうか。確かにこの研修導入自体は間違いではありません。むしろ、弱点を補うための施策を展開する、というのは基本中の基本です。
しかし、この研修を取り入れるのであれば、絶対に一度きりで終わらせてはいけません。というのも、現場の社員たちもそこに至るまでに自分たちでたくさん工夫を重ねてきたはず。それでも一向に改善しなかったからこそ今課題として挙がっているわけで、たった1回の研修で解決できるはずがないからです。その結果、経営層の独りよがり、「やった感」のための研修になる、もしくは社員にそう思われてしまう可能性が高まります。
会社の課題を解決するために行われる研修には、継続性がとても大切です。研修プランを策定する際は、たった一回の研修ですべてが解決するとは思わず、もっと長い目で段階的に成長できるようなカリキュラムを組むことが欠かせません。
研修というのは経営層、現場ともに「やった感」を感じられるということもあり、人気の人事施策の一つです。 でも、「やった感」に惑わされずに、一歩立ち止まって考えてみることが重要です。

ただし、継続的な研修ならそれでいい、というわけではもちろんありません。研修とは本来新たな価値を獲得するために行うものですが、場合によっては「得る」価値より「失う」価値の方が多くなってしまうことがあるからです。
価値を「得る」とか「失う」とか言われてもわかりづらいと思いますので、「新人管理職研修」を例に考えてみましょう。これは新しく管理職になる人に必要なスキルや心構えを学んでもらうために新しく設けた研修です。継続することが大切と考えられ1回8時間の研修を全5回行うカリキュラムを組みました。
ここで問題になるのが、研修によって「失う」価値です。新しく管理職になるということは、社内でもトップクラスに脂ののっているハイパフォーマーであることが予想されます。そんな社員の貴重な1日を、5回も無駄にしてまで「得られる」価値は、本当にその研修にあるでしょうか?
もちろん、研修の内容が素晴らしく、今後十数年にわたって活用できるようなことを学べるのであれば、行う価値は十分にあると思います。しかし、「得られる」価値の少ない研修であれば、ハイパフォーマーの時間を浪費するだけで終わってしまうので、注意が必要です。
最後に、導入する研修を検討する際に意識しておくべきことをお伝えします。
まず一番初めにやるべきことは「いつどのターゲットにどんな研修をどんな目的でやるのか」を明確に示すことです。ここをしっかり決めておかないと、計画が進むにつれて本来目指していた目的からどんどん離れていってしまいます。
「いつ、誰が、どんな、何のために」を決めたら、次は「本当にその研修が求められている業務に紐づくのか」の検証です。業務に紐づかない研修は、全く意味がありません。
これら2ステップは、研修を導入する上で最低限しなければいけないことです。「弱みが分かったから」「他社もやっているから」というような軽い気持ちで始めると、せっかくの研修がコスト面でも時間面でも無駄を生みだす機会になってしまうので注意しましょう。

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
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なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?

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テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
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人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
創業したてのベンチャーから成長後期、大企業クラスの規模に至るまで、
会社には様々な変化があります。そしてそれは、人事部も同じ。
今回は各ステージごとの人事部の立ち位置の違いと、
人事が陥りがちなことをお伝えします。
人事ポリシーとは会社の「人」に対する考え方を表明したものです。
会社が抱える「人」の悩みの大半は、社員との間にある意識のミスマッチが原因です。
自社に即した人事ポリシーによって意識をすり合わせることができれば、
複数の課題が一気に解決することも珍しくありません。
これからの人事は、「人」だけでなくロボットやメカ、AIなど、
「人以外」のリソースも管理する必要があります。
会社から必要とされる人事になるためのリソース戦略とは、
いったいどのようなものなのでしょうか?
企業が新たな人材を獲得する方法には大きく分けて、新卒採用と中途採用の二つがあります。各々の特徴について、ご自身のイメージを持たれているのではないでしょうか。ですが今一度、これからの時代に合った人材採用の考え方を考えていきましょう。 また、コロナ禍における新卒採用の捉え方についてお話しいたします。
優秀な若手社員ほど、数年、時には数ヶ月で突然辞めてしまうことがあります。
「この会社にいても外で通用しない」など理由は様々。こうした時、若手社員の不満に耳を傾けたり、柔軟な働き方を提案することで退職を思いとどまらせることができるかもしれません。
一見華やかに見える人事というポジション。
しかし実際は、アヒルのように水面下でばたばたと、
時に土まで巻き上げる勢いでもがきながら前進しているものです。
人事の仕事に関するありがちな誤解と、必要とされる意外な知識について解説します。
「人事異動」は誰にとっても大きなイベントですが、人事担当者にとってはまた異なった意味を持ちます。
では人事担当者はどのように進めるべきなのでしょうか?
そして人事になりたての人間は「人事異動」に向けてどのように振る舞えばよいのでしょうか。
著者の経験談も混じえて解説いたします。
社員から人事評価について不満が出てきた時、それは「問題点を洗い出すチャンス」でもあります。社員の側に立って話を聞くことで不満の原因はどこにあるのかを探し出します。伝えてもらえるのは良いことなのだと思い、しっかりと向き合うことが大切です。