2019.01.18
人事制度の改革には反対意見がつきもの。
私たち人事はその反対意見に対して
どのように対処していけばいいのでしょうか?
今回は人事制度改革を行うにあたり、
意識しておくべきことをご紹介いたします。
新しい人事制度を提示したとき、すべての社員から肯定的な反応が返ってくる、ということはほとんどありません。たいていは反対意見など、ネガティブな反応も出るものです。しかし、そこでひるんでいるようでは一人前の人事とは言えません。反対意見にはどのように対処していけばいいのか。人事制度の変更や人事制度改革を実行する際に意識しておくべきことをご紹介します。
人事制度を変更するということは、何らかの解決すべき課題があるはずです。そのためには、反対意見を押し切ることも時には必要になります。今回は「成果を出している若手に対して正当な評価ができていない」という、多くの企業が抱えている比較的ポピュラーな課題を例にして考えていくことにしましょう。
たとえば、年功序列型の人事制度を敷いている場合。年功序列型の人事制度は、どうしても若手への評価が低くなります。そのため、近い将来の主戦力となる若手社員への待遇が悪くなってしまい、「頑張っても見返りがないなら」と若手を中心に退職者が続出、人材流出や若手不足に悩まされることになりがちです。
この場合、「何のために」人事制度改革をやるのかというと、「若手社員の待遇を上げてモチベーションをアップさせ、人材流出を防ぐこと」ですね。そのため、今回のメインターゲットは若手社員ということになります。
このように、人事制度改革には解決すべき課題と、効果が出てほしいメインターゲットが存在します。そして、その改革がしっかりとメインターゲットへの効果が期待できるものであれば、多少の反対は気にせず進めるべきです。今回のケースでは勤続年数の長い社員による反対が予想されますが、人材流出を防ぐためと割り切るようにしましょう。
具体的な目安として、私たちは普段「社内の6割の世論を味方につけてください」というアドバイスをしています。社内の全員からの合意を目指す必要はありません。というより、そんなことはほぼ不可能です。社内の6割の世論さえ形成できれば、改革を推し進めてしまって構いません。
逆に6割の世論を味方につけられない場合は、制度改革の見直しを検討するべきです。例えば社員が100人いる中でメインターゲットとなる若手が数人しかいないのであれば、反対意見を押し切って改革しても、失うものの方が大きくなる可能性があるからです。若手にしか支持が得られていないようであれば(社内で反対意見の方が圧倒的に強い場合は)、一度立ち止まって考えてましょう。
それでは、無事に社員の6割の賛成を取付けられたとしましょう。その時気になるのが、残りの4割の社員との向き合い方です。この部分に関しては、その会社が持っている人事ポリシーに従うことになります。
今回の人事制度改革によって給料が上がることはないけど(あるいは下がってしまうけど)、これからも一緒に働いていきたい。会社としてこのようなポリシーを持っているのであれば、その旨を社員説明会などでしっかりと発信しましょう。そうしなければ、ターゲット以外の社員に「俺たちをやめさせるために人事制度が変わったんだ」と受け取られてしまう可能性があるからです。
反対に、「今回の改革によって評価されなくなる人は会社の成長を阻害している人だから、やめてもらって構わない」というポリシーを持っているのであれば、社員へのケアや心遣いは不要です。ただし、それによる退職者が続出した場合には、戦力ダウンも覚悟しなければなりません。特に人脈やノウハウなど一朝一夕では得られない反面、画一的な評価制度では計れないスキルもありますので、そのあたりは十分注意するようにしましょう。
また、中には改革を阻止するために、自分の反対意見に周囲を巻き込もうとする人もいます。勤続何十年のベテランになると部署を超えた人脈を持っていたり、キーパーソンに顔が利いたりするので、そこから自分の仲間をどんどん増やしていき、世論を奪い取ろうとするのです。
そう言う人に対しては、「あなたのいうこともわかるけど、このまま会社の競争力がなくなって会社自体がなくなってしまうのが一番困ること。それに若手が育ってくれればあなたの仕事も楽になるんですよ」というように、うまく対応するようにしてください。ここで無闇に抑え込もうとすると、相手の反抗心に火をつけてしまい、むしろ反対勢力の拡大を助長しかねません。反対に相手懐に入るつもりで味方としてふるまってしまうと、いつの間にか相手の顔色をうかがう事しか言えなくなってしまう可能性があります。人事制度改革に頑なに反対する人に対しては、「敵対も迎合もしない」ということを意識するようにしてください。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
企業理念の浸透がなかなか進まないのは、
社員とのコミュニケーションが上手くいっていないからかもしれません。
自分たちの伝えたいことをしっかりと伝えられるようになるためには、
どんなことに気を付けていればいいのでしょうか?
いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
給与の額は評価によって決まります。
そのため、評価は給与を額を決めるための手段に過ぎない、
と考える人も少なくありません。
そのような考え方は、正当な評価につながらないことがあるので注意です。
働き方改革を推進している現代社会において、いまだにブラックと言われる企業がなくならないのはなぜでしょうか?労働環境を整えるのは、人事の重要な課題です。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、ブラック企業について改めて問い直します。
新卒でも、中途入社であっても、人事未経験で人事部に配属されたとしたら、
どのような考え方を持ち、何をして過ごすべきなのでしょうか?
今回は若手人事担当者の心構えについて解説します。
約70%の企業が副業を禁止していると言われています。
そもそも副業はなぜ禁止されているのでしょうか?
副業のメリット・デメリットや
これからかかせない”副業制度”導入に必要なポイントを説明します。
会社が大きくなるについて、「社員からの批判」は増えていきます。
そういった批判にはどのように対処していくべきなのでしょうか?
そもそも、対処する必要がないのでしょうか?
悩んだときは、その批判が会社に与えるインパクトを考えてみましょう。
「頑張っていること」を評価したい、
という気持ちを持つのは悪いことではありません。
しかし、その気持ちを本当に評価に反映してしまうと、
社員の不満の元になってしまいます。