2024.10.28
部下のやる気は、上司次第。管理職の言葉によって、社員のモチベーションが低下することも少なくありません。これは管 […]
部下のやる気は、上司次第。管理職の言葉によって、社員のモチベーションが低下することも少なくありません。これは管理職の個別の問題ではなく、会社全体の課題といえるでしょう。「部下のやる気」がなくなる管理職のNGワードとは何か? 一緒に考えてみましょう。
ある会社で、こんな“事件”がありました。高い売上をあげた部下に対して、上司が「ありがとう」と伝えたところ、「俺はあんたのために頑張っているんじゃない!」と部下がキレてしまったのです。「自分はお客さんのために働いているのであって、上司のために仕事をしているのではない」と。
この上司は、売上をあげる目的について「自分の評価に響くから」「上がうるさいから」としか言っていなかったそうです。だから仕事に対して高い意欲を持っていた部下はキレてしまったのでしょう。
こういった事例は、この上司に限ったことではありません。管理職研修などで「あなたが働く目的は何ですか?」と質問すると、ほとんどの管理職がこのように答えます。「生活のため」と。
あるいは「“なぜ売上を伸ばさなければならないのでしょうか”と部下から質問を受けたときにどう答えますか?」と質問すると、ほとんどの人が次のように答えます。
「会社を存続させるため」
「我々がごはんを食べていくため」
「会社だから当然」
新入社員やアルバイトの人ならまだしも、働く目的についてこのようにしか答えられない管理職ばかりでは、部下も仕事をする目的が見出せないのではないでしょうか。実は、これらすべてが「部下のやる気」がなくなる管理職のNGワードなのです。
「企業の目的は利益を追求すること」「仕事の目的はお金を稼ぐこと」「給料を上げれば社員のモチベーションは高まる」。このように公言している経営者もいますが、本当にそうでしょうか?
生活のため、家族のために働く。それはもちろん大切ですが、「お金=モチベーション」にはならないのではないでしょうか。実際、給与を上げれば社員は一時的に奮起しますが、2〜3ヶ月もたてば給料増によるモチベーション効果は薄れます。
社員が本当に求めているのは、お金以外の「働く目的」であり「働く喜び」なのではないでしょうか。
経営者や管理職にとって重要なのは、「仕事そのもの目的や価値」を提示し、「社員に働く喜び」を理解させること。「なぜ優秀な人ほど辞めてしまうのだろう」と多くの経営者が嘆いていますが、最も大きな原因は「働く目的」や「働く喜び」を明確にできていないからだと考えられます。
では、そもそも、なぜ売上を増やさなければならないのでしょうか?
それは、世の中に「価値」を提供し、多くの人々の役に立つためです。
上記は、「会社が社員に求めるもの」を図にしたものです。社員が図の左側「プライベート」を向いているとき、多くの人たちは「仕事をするのが嫌だ」と思っていると考えられます。「生活のために仕方なく働いている」という状態です。
お金以外の「働く目的」や「働く喜び」があると感じられるのは、右側の「社会や他社に対して価値を提供する」を向いているとき。企業は、この状態を目指すべきでしょう。
その企業が提供しようとしている価値(企業理念にそれは書いてあるはずです)を仲間と一緒に顧客や社会に提供するために働いている、という社員を増やすこと。このように目的意識を明確にして、仕事の意義を示していくことが社員のモチベーションを上げることにつながるはずです。
社会に対して、顧客に対して、より多くの価値を提供して「ありがとう」と言っていただく機会を増やすこと。これが働くことの目的であり、売上を増やすことを目指す理由なのではないでしょうか。
企業にとっての売上とは、会社が顧客・社会に提供した「価値」の総量。言い換えれば、価値を認めてくれた顧客からの「ありがとう」の量ということです。「売上が下がる」とは、世の中に価値を提供できていないということ。社会に貢献できていない企業は、存在価値がなくなってしまいます。
そして、企業にとっての利益とは、会社が創出した「付加価値」の総量。どれだけ付加価値を出せたのかが指標です。売上や利益は、結果であって目的ではありません。目的は価値提供にあります。
「会社が目指すもの」や「世の中に提供している価値」がきちんと浸透している企業では、仕事を通じて達成できた喜びを社員全体で分かち合えます。こういう会社なら上司が「ありがとう」と言えば、部下も素直に喜んでくれるでしょう。こうした環境が働く人たちのモチベーションを高めるのです。
では、このような環境をつくっていくためには、どうしたらいいのでしょうか?
人事ポリシーで「社員が働く目的」を明確にするのです。
働く目的としては一般的なのは、「生活のため」「一緒に働く仲間のため」「価値を提供するため(理念)」「自身の成長のため」の4つですが、自社で働く目的を「価値を提供するため」「自身の成長のため」として人事ポリシーを改めるのです。重要なのは、社員に「自分は世の中の役に立っている」「この会社にいれば成長できる」と思ってもらうこと。
また「お客さんに喜んでもらうには、どうしたらいいか?」「それは社会にとってプラスになるのか?」といった理念を絡めた問いを日頃から発していきましょう。すると社員は、自分の仕事の価値や使命を理解し、モチベーションが高まっていきます。日頃から「働く目的」や「働く喜び」について語る機会を増やし、社内に浸透させていくのです。
職種によっては顧客の顔が見えず、価値を提供していることを実感しにくい場合もあるでしょう。たとえば、管理部門です。それでも総務や経理が「価値を提供する相手は誰か」と考えてみてください。価値を提供する相手は、クライアントやエンドユーザーとは限りません。それは経営者かもしれません。社員全員かもしれません。株主かもしれません。人事ならば、応募者もそこに入るでしょう。
価値を提供する相手がいない仕事なんてないはずです。それぞれが誰にどのような価値を提供しているのか、改めて考えてみてください。それが社員の「働く目的」や「働く喜び」になるはずです。このような環境をつくっていくことで、「部下のやる気」がなくなる上司の発言を減らしていきましょう。
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