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第25回 会社が掲げる「企業理念」が、実は劇的に重要な理由

「あなたは何のために働いているのですか?」 あなたは、自分の会社の企業理念を知っていますか? 経営者が書いたビ […]

「あなたは何のために働いているのですか?」

あなたは、自分の会社の企業理念を知っていますか?

経営者が書いたビジネス書には、必ずといっていいほど「理念」の重要性について説かれています。しかし、なぜ理念が大事なのかを理解している人は少ないようです。そもそも、自分の会社の企業理念さえ知らない人も多くいます。

私は「人事の学校」という人事担当者の養成講座で3000人以上のビジネスパーソンの指導をしているのですが、管理職や人事担当者であっても自分の会社の理念を言えなかったり、あまり理解できていなかったりします。

理念とは何かというと、その会社が社会にどのような価値を提供しようとしているかを語っているもので、そこで働く人たちにとっては「働く目的」になるものです。

なぜその会社で働くのか、なぜその仕事をするのか、何のために売上をあげる必要があるのか、自分たちが働く目的を示したものが、その会社の企業理念です。

ところが、企業研修の場面などで「あなたは何のために働いているのですか?」と質問をすると、8割以上のビジネスパーソンが「生活のためです」と答えます。新人やメンバークラスだけでなく、ほとんどの管理職がそう答えます。

「では、宝くじが当たって生活できるようになったら、会社は辞めますか?」と質問すると、やはり8割以上の人が「辞めます」と答えます。たとえその場に社長がいても、躊躇なくそう答える人が多いのです。

 

ミッション・ビジョン・バリューとは?

企業理念は、一般的に「ミッション」「ビジョン」「バリュー」に分解されます。

ミッションとは、「使命」です。世の中にどのような価値を提供するのか、どのように貢献するのかという、その会社の使命を表すものです。

Googleであれば「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」。Facebookなら「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現すること」です。

ビジョンは、どうありたいか、どうなりたいかを示す「目標」や「方向性」です。

Yahooは「世界で一番、便利な国」というビジョンを掲げ、「買いたいものが、すぐ手に入る。知りたいことが、すぐわかる。世の中を便利にすればするほど、人はもっと自由に、人生はもっと豊かになる」と、会社が目指す具体的な方向性を示しています。

バリューは、「価値観」「あり方」「姿勢」などを示す行動指針です。

メルカリは「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションを実現するために「Go Bold(大胆にやろう)」、「All for One(全ては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューを大切にしています。

どの企業も、理念と商品やサービスが密接に繋がっており、ミッション・ビジョン・バリューの実現こそが、社員の働く目的になっています。

 

会社とは本来、理念を実現する場所

企業理念とは、ただ壁にかかっているものではなく、その会社が世の中にどういう価値を提供するのかを示すものです。会社とは本来、その価値を一緒に提供するために集まった、理念を実現する場所のはずです。

理念と目的が繋がり、みんなが同じ方向を向いている組織は強いです。そういう会社で「働く目的は何ですか?」と質問すると、理念に関する言葉が自然に出てきます。

社員みんなが理念に共感し「一緒に実現していこう!」という状態になると、働く目的が明確になるので、誰もが高いモチベーションを持つことができます。

「何のためにこの仕事をやってるんだっけ?」「こんなことして意味あるんだっけ?」と悩んだりすることもなくなります。働く目的が「生活」や「お金」のためだけだったら、仕事はつらいものにしかならないのではないでしょうか?

だからスターバックスでもディズニラーランドでも、理念を浸透させる教育を徹底的に行っているのです。

理念を朝礼で唱和したり、クレドカードにして配っている会社もありますが、暗記するだけでは意味がありません。大切なのは、理念に共感し、自分自身の言葉で語れること。そして「ああ、そのために私はこの会社で働いてるんだ!」と思えることです。

 

あなたは世の中に「何」を提供していますか?

自社の理念を腹落ちさせ、それを実現することが会社で認められる近道。そのように考える人もいますが、それは間違いではないにしても、私はもったいないように感じます。

なぜ理念が重要なのかというと、自分自身がやりがいを持って働けるようになるからです。どうせ仕事をするのなら、そのほうが楽しいと思いませんか?

管理職にとっては、会社が目指すものを自らの言葉で情熱的に語り、理念に伴った行動を浸透させていくことがリーダーとしての務めでもあります。

「なんで売上をあげなきゃいけないんですか?」と部下に聞かれたときに、「生活のため」「マンションのローンを払うため」と答えてしまう人がいますが、それでは「俺はあんたの生活のために働いているんじゃない!」と部下はやる気を失ってしまいます。

あらゆる仕事は、誰かに喜んでもらうために存在しているはずです。売上を伸ばすのは、自分たちの商品やサービスによって、より多くのお客様に喜んでいただくためです。仕事を通じて、より多くの人を幸せにするためです。

こうした意識が浸透すると、組織の雰囲気が明るく変わります。社員の能力も業績も伸び、モチベーションの高い社員の定着率が高まり、外部からもよい人材が集まるようになります。採用にまつわる悩みも解消され、雇用面でもプラスの好循環を生み出します。

自分は世の中に「何」を提供しているのか。
仕事を通じてどんな喜びを与えているのか。

あらためて自分に問いかけてみてください。それを自分の言葉で語れるようになったとき、決して大袈裟ではなく、人生が変わります。

 

次回に続く

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