2024.10.07
人材管理や人材採用をするにあたって、人事担当者が検証しておきたいポイントがあります。それは「X理論」と「Y理論 […]
人材管理や人材採用をするにあたって、人事担当者が検証しておきたいポイントがあります。それは「X理論」と「Y理論」という考え方の違いです。これによって「人事施策の手法」も「求める人材像」も変わってきます。あなたの会社は、人間は「仕事が好き」だと考えていますか?
人事担当使者のみなさんに質問です。答えを次の2つから選んでみてください。
Q:人間は仕事をするのが好きだと思いますか?
① 嫌い。仕事はできればしたくないもの
② 好き。仕事は娯楽や休息と同じく自然にするもの
アメリカの心理・経営学者、ダグラス・マクレガーが提唱した「XY理論」によると、人間の就業観や経営管理の方法は2種類に分類されます。嫌いと答えた人は「X理論」、好きと答えた人は「Y理論」で仕事をとらえる人。マクレガーは、異なる2つの考え方を次のように定義しています。
X理論(本質論)
・人間は仕事をするのが嫌いで、仕事をしたくないものだ
・企業の目標達成のためには、統制・命令・処罰による脅しが必要である
・人は金のために動くものだ
・普通の人間は、命令されるのが好きで、責任を回避することや安全を望んでいる
Y理論(性善説)
・仕事で心身を使うのは、娯楽や休息と同じように自然なことである
・普通の人間は、生来、仕事が嫌いというわけではない。
・人は自らの委ねた目的に役立つためには、自ら命令し、自ら統制するものだ
・最も重要な本質は、「自我」や「自己実現」の欲求の満足。
X理論とY理論、自社がどちらに基づいて「人間」をとらえるかは極めて重要です。
なぜなら人材管理や人事採用の手法が変わってくるからです。
人は仕事が嫌いであり、統制・命令・処罰による脅しが必要と考える「X理論」に立脚するなら、徹底的な管理・監督が必要になるでしょう。営業職はGPSで監視し、社員の電話やメール、SNSもすべてチェック。顧客との直通電話も禁止。テレワークは専用ツールを使って従業員の徹底的に監視する。給与にはインセンティブをつけて人はお金で動かす。
「XY理論」が提唱された1950年代後半は、工業化社会における工場労働はX理論に立脚していることが多かったと言われていますが、現在でもこのような施策を行なっている会社は数多くあります。
一方、自我や自己実現の欲求の満足を目的として人を動かす「Y理論」に立脚するなら、社員のモチベーションを高め、行動を促す「理念」が重要になります。統制・命令・処罰だけで管理すると、自ら考え、動ける人材が育ちません。知的労働においては、Y理論のほうが適しているといえるでしょう。
ただし、100%「性善説」だけでは、人材管理や会社経営が成り立たないのも事実です。「X理論」の施策には行きすぎと思えるものもありますが、現代の企業に求められている多様なコンプライアンスを考えると、当然のリスクヘッジと納得できるものも多くあります。
そのため業種や職種、事業内容によって「Y理論」を軸としながら「X理論」を部分的に取り入れている会社もあれば、その逆もあります。雇用形態や等級ごとに考え方を変え、コアやスペシャリスト、その候補となる人材は「Y理論」で管理し、マネージャーやオペレーターは「X理論」で管理する考え方もあります。いずれにしても、どちらに軸足を置くかで、打つべき人事施策は変わってくるのです。
「X理論」は、人間は仕事をするのが嫌い、企業の目標達成のためには統制・命令・処罰による脅しが必要、人は金のために動く、普通の人間は命令されるのが好きで責任を回避することや安全を望んでいる、という考えです。この理論に基づくなら、次のような人事施策が必要となるでしょう。
X理論に基づく人事施策
・勤怠管理の強化
・行動管理(日報・週報)
・セキュリティ強化
・リスク教育
一方、「Y理論」は、仕事で心身を使うのは自然なこと、普通の人間は仕事が嫌いというわけではない、人は自らの委ねた目的に役立つためには自ら命令し自ら統制するもの、最も重要な本質は自我や自己実現の欲求の満足、という考えです。この理論に基づくなら、次のような施策が必要でしょう。
Y理論に基づく人事施策
・目標管理(目標と自己統制による管理)
・成果確認
・裁量の拡大
・機会創出・発想力教育
さらには、人材採用における「求める人物像」も変わってきます。「X理論」に立脚するなら、統制・命令に対して忠実に業務を遂行できる「協調性」を重視した採用を行うべきでしょう。
X理論に基づく求める人材像
・周囲を気遣い家族としての社内の和を乱さない
・チームプレーが得意
・周囲に協力できる
・きっちりと与られた仕事をこなす
・信頼できる
・ルールを破らない
一方、「Y理論」に立脚するなら、自らの委ねた目的のためなら、自ら命令し、自ら統制できる人、自我や自己実現の欲求の満足を求めている人など、「主体性」を重視した人材を採用すべきでしょう。
Y理論に基づく求める人材像
・自ら考え、自ら動き、周囲を巻き込み進む
・リスク、冒険を厭わない
・挑戦をする
・ビジネスをつくり、収益をつくり、収入も高くしていくことを志向する
・仕事>プライベートである
・仕事に夢中になる
「協調性」を重視した採用を行い、入社後は「主体性」を求めてもうまくいきません。逆もまた然りです。「X理論」に立脚するならそれに適した人材を、「Y理論」に立脚するならそれに適した人材を採用することが必要です。自社は「人」をどのように捉えているのか、改めて検証してみてください。
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