予期しない退職報告や退職希望にあたふたしてしまう「びっくり退職」。退職者には辞める前にいくつか特有の"兆候"が見えるものです。昔と比べて若手社員の退職が当たり前になった時代だからこそ、人事の恥とも言える「びっくり退職」に陥らないように、人事担当者には退職者が出す兆候を見逃さないスキルが求められています。
これまでに、若手社員から突然「会社を辞めることに決めました」と報告を受けたことはありませんか? 予期しない退職報告や退職希望にあたふたしてしまう「びっくり退職」。
もちろん、水面下でひっそりと会社を辞める手はずを整えている人もいますが、たいていの場合は辞める前にいくつか特有の”兆候”が見えるものです。
人事担当者はこうした兆候を敏感にキャッチすることで、人事の恥とも言える「びっくり退職」に陥らないようにしなければなりません。どんな兆候があるのか、お話していきましょう。
退職を考えている若手社員には、辞める前特有の兆候が見えるもの。そしてその兆候はしばしば社内で「うわさ」として囁かれていることがあります。この、社内のうわさにアンテナを張っておくことが重要です。
例えば、若手社員のこんなうわさ話を耳にしたことはありませんか?
「XX部署の若手社員、最近吹っ切れて仕事するようになったよな」
「あいつ、昔は不満をよく言ってたけど、最近は素直に仕事してるよね」
こういった内容を耳にした時は要注意です!
一見仕事を覚えてやる気を出しているのかと思うかもしれませんが、これこそが退職前の若手社員によく見られる兆候。大人しくなった若手社員の心情を紐解くとすると「どうせ辞めるんだから怖いものなんてない」「不平不満を言っても意味ないからあきらめた」と思っている可能性があるからです。
他にも、
「帰宅する時間が早くなった」
「今まで取得しなかった有給を頻繁に取得している」
「午後休や午前休を取得することが増えた」
「社内でやりたい夢を語らなくなった」なども、退職前の社員によく見られる兆候です。
時には、午前休や有休を使って転職の面接に行っているかもしれません!
こうした変化をしっかりとキャッチし、退職前の兆候として捉えることができるかどうか、そしてすぐに面談などを設けて話を聞く、といったアクションを起こせるかどうかが「びっくり退職」を予防する第一歩になるのです。
退職前の兆候をキャッチするためには、新卒社員の中に少なくとも1人、同期の悩みや退職しそうな雰囲気を伝えてくれる”人事部の協力者”を作っておくことをオススメします。
“人事部の協力者”をつくるためには、新卒社員と積極的にコミュニケーションを図り、”話しやすい人事の人”というイメージを持ってもらえるようになることが重要。
退職を一人で考え、決断するのは精神的にとても疲れるものです。辞めようか辞めまいか……ぐるぐると悩んでいる中で、ついポロリと相談をしてしまう相手は、一番近しい同期であるケースが多々あります。同期に退職しようか悩んでいることを相談し、意思を固め、上司に相談する時にはすでに決意をしているということも少なくありません。
上司から人事が「若手社員が退職をする気だ」と報告を受けたときには時すでに遅し。しかし、裏を返せばその前段階で情報をキャッチすることができれば、退職を引きとめられる可能性があるのです。
「社内のうわさ話が自分のもとに入ってくる仕組みを作る」
「新卒社員に同期の情報を伝えてくれる人を作っておく」
こうした方法で若手社員が辞める兆候をキャッチして相談に乗っても、退職を止められないケースは存在します。
例えば、20代後半の女性社員が「実は留学するために仕事を辞めようと思っています」と言った場合、これは「今のうちにやっておくべきことをやりたい」という強い意志を伴っているため、簡単に止められるものではないでしょう。
一方で、働いている環境や部署内の人間関係が原因であれば、その社員の話を聞いて「今の現場が感情的に嫌なだけか」「違う業務内容がやりたいのか」「異動をすれば解決することなのか」などをヒアリングし、判断することで退職を止められるケースもあります。
今の時代、「この会社で一生働きたいと思っています!」という新卒社員を採用していない会社も多いものです。そういった採用方針ならば、新卒社員を20人採用しても、その世代が30歳になるまでに半分残ればよい方だ、という心構えを持つことは大事です。
しかし、だからと言って退職を考えている社員の兆候に気付かず、「びっくり退職」を受け入れてしまう人事になってしまってはいけません。
昔と比べて若手社員の退職が当たり前になった時代だからこそ、人事担当者には退職者が出す兆候を見逃さないスキルが求められるのです。

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それを判断するのは人事の役目です。
そのために必要な「人事の人事ポリシー」とは?
今再び注目を集める「ジョブ型雇用」や「成果主義」。 決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。これらの導入には、ジョブディスクリプション(職務記述書)が必要ですが、策定や運用には多くの困難が存在します。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
人事ポリシーを適切に運用できている企業は、
残念ながらそれほど多くないというのが現状です。
ではなぜ、せっかく策定した人事ポリシーを活かすことができないのでしょうか?
人事がブレると、どうなってしまうのか?あまり想像ができないかもしれません。
しかし、人事のブレは採用、育成などの
「人」に関わる事柄に大きな影響を与えるため、
「人事の基盤」としてしっかり策定することが大切なのです。
「そろそろ評価の時期だから、気にしておかなきゃ」
このように考える人は、評価する管理職にも、評価される社員にも少なくありません。
「評価の時期だけ自分の評価を気にする」――果たして、それで良いのでしょうか?
「頑張っていること」を評価したい、
という気持ちを持つのは悪いことではありません。
しかし、その気持ちを本当に評価に反映してしまうと、
社員の不満の元になってしまいます。