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第20回 リモート時代に生き残るのは「職務」と「年収」を自分で決められる人

リモートワークによって、日本の雇用制度は大きく変わろうとしています。リモートワークでは、社員が働く姿がよく見えません。上司によるマネジメントが徹底しにくくなるため、今後はセルフマネジメントできる人材が強く求められるようになります。では、セルフマネジメントとは、具体的には何をすればいいのでしょうか。

自分で「ジョブディスプリクション(職務定義書)」を作ろう

リモートワークによって、日本の雇用制度は大きく変わろうとしています。リモートワークでは、社員が働く姿がよく見えません。上司によるマネジメントが徹底しにくくなるため、今後はセルフマネジメントできる人材が強く求められるようになります。

では、セルフマネジメントとは、具体的には何をすればいいのでしょうか。それは、自分の「職務(ミッション・役割)」と「成果」を明確に定義することです。

「今年の私の仕事はこれです」

「こういう成果を出します」

自分がアウトプットする職務と成果を、自分自身で明らかにし、会社に認めてもらう。こうした行動が、これからのリモート時代には非常に重要になってきます。

リモートワークへの移行、さらには景気の悪化といった社会の激変にともなって、会社の評価制度も変わらざるを得ません。根強く残る「勤続年数」や「年齢」で給与を決める「年功序列型」が衰退していくのはもちろん、「行動」と「成果」で評価している会社も、「行動」が見えにくくなるとすれば、「成果」をより重視していくことになります。

すでに日立や富士通、資生堂が表明しているように、職務を定義し、その成果で評価・管理をする「ジョブ型雇用」が今後主流になっていくかもしれません。

このジョブ型雇用で重要になるのが、「ジョブディスクリプション(職務定義書)」を作ること。リモート時代に勝ち残っていけるのは、これを自分で作れる人です。

 

会社が作るもの、という発想はよくない

ジョブディスクリプションとは、自分が担当する業務内容、その重要度、頻度、指標、必要なスキルなど、自身の職務を定義する書類です。日本ではあまり一般的ではありませんが、欧米では人事評価や求人時に不可欠な書類とされています。

ジョブ型に限らず、従来のメンバーシップ型の雇用形態であっても、職務を明確にしなければリモートワークは機能しません。職務や成果を明確にできれば、会社も安心して仕事を任せることができます。

これからの社会では、こうした書類を自分で作り、職務と成果を自ら定義し、会社に提案できる人が高い評価と収入を得ていくでしょう。

なぜなら、会社が社員全員のジョブディスクリプションを作るのは、大変な作業です。業務内容や範囲、その重要性や必要となるスキルを社員一人ひとりにヒアリングし、詳細に書き出していくことは非常に困難です。

その必要性は認識しても、実際に活用していける日本企業は多くはないはずです。

だからといって、会社から職務を指示されるのを待っているだけの社員は、評価は下がり、給与も上がらず、最悪、リストラということもあり得ます。

サラリーマンであっても、今後は自営業のような働き方が求められていくのです。それができる人と、できない人では、どんどん大きな差が生まれていきます。

 

職務(ミッション・役割)と成果を自ら定義し、
希望年収を会社に認めてもらおう

リモート時代に必要なのは、「私は何をアウトプットする役割なんでしたっけ?」「どんな成果を出すんでしたっけ?」といったことを改めて考え直すことです。

自分で自分の職務を決めて成果を出す。

これができない人は、今後は年収が上がらなくなっていくでしょう。前回の記事(リンク入れて下さい)でお伝えしたように、いまや多数の企業が廃業を迫られる、未曾有の不況が訪れようとしています。社員と会社の関係は、よりシビアでドライな、本質的な雇用関係、いや「契約関係」に変化していくはずです。

自営業やフリーランスの場合は、クライアントに「自分はこういうことができます。値段はこれくらいです」と、職務も成果も報酬も、自分自身で決めて交渉します。

会社員も年収を上げるためには、こうした行動が必要な時代になっていきます。たとえば、自分の職務と成果を示し「年収600万円ください」と会社に交渉するのです。

自分の値段は、自分で決める。

これがリモート時代に目指すべき働き方です。それができる人なら、600万どころか、800万でも1000万円でも取れるようになるでしょう。

 

目指すは「フリーランスのサラリーマン」

サラリーマンのほとんどが自分の給与に不満を持っていますが、人に決めてもらおうとするから不満になるのです。

自分でやるべきことを決め、それに見合った正当な報酬を会社に求めれば、そんな不満もなくなります。もちろん成果を出すことが大前提ですが、こうした働き方ができる人なら、必ず高く評価され、年収も上がります。

仕事内容にしても同じです。ただ会社から与えられた仕事をこなすのではなく、自ら提案し、実現し、成果をあげれば、働くことが面白くなります。

仕事が面白くなり、希望する年収をもらえる。

これが理想の働き方ではないでしょうか。「この仕事をするから1000万円ください」でもいいし、「これはやりたくないから400万でいいです」でもいいのです。

自分でジョブディスプリクションを作り、職務と成果と明確にし、適切な年収を求め、それを会社に認めてもらう。これができるようになれば、どんな会社でも通用します。実際、欧米ではこうした方法でキャリアアップしていくのが一般的です。

いつでも転職できる。そう思えるようになれば、今の会社に執着する必要もなくなります。今の会社で評価されれば残るし、評価されないなら他に行けばいい。そういうスタンスで働いていれば、逆に会社の方から高待遇を提示してくるでしょう。

要は、「フリーランスのサラリーマン」を目指すのです。

ジョブ型雇用が増えていくリモート時代は、そんな働き方がしやすくなります。職務も年収も自分で決める。そんな働き方を目指してみませんか?

 

次回に続く

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